血よりも愛すべき最愛


「『化物』と認識(称)するなら、“これ”で僕が殺せると思うのかね?」


自警団たちがぎょっとしたのも束の間、娼婦の死体が投げられた。


「ひっ」


『人間の死に様』とは思えぬ醜さに、ひきつった悲鳴をあげたのも刹那――マスケットを奪われた。


刹那で間合いを詰める俊足、武器を取られたと焦る前。


「そういえば、『化物』(僕)の物語を書いた作家がいたのだよ」


世間話をしながら、マスケット銃の銃身を持ち主の心臓に突き刺す。


「姪の血を提供する代わりに、僕について語れと言う、人間にしては気狂いの作家だったが――ああ、僕はあのような輩を好む。何せアレは、僕に素晴らしい名称を与えてくれたのだから」


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