血よりも愛すべき最愛
繰り返される残虐。
立ち向かう果敢も、逃げ出す怯えさえも、考える間もなく殺される。
マスケット銃を槍代わりに。銃身が貫通するほどの剛力と弾よりも早い俊敏さが、程なくして、血の海を作り上げる。
串刺し公さながらの残虐性。その中心に立つ『夜空』は、浴びた返り血を舌先で味わう。
「吸血鬼。これほど“馴染む名”は、他に“なかった”と断言しよう」
語るは、途方もない歴史。
“良い手土産”を得たと、吸血鬼は身を翻し、暗夜に溶け込んだ。