好き…じゃない
「失礼します。」
軽くノックをして職員室に入る。
職員室は暖房が効いていてつくづく先生はずるいと感じた。先生の机は二年部の奥から2番目。
「野崎!こっちこっち。」
「わかってますよ」
「やっぱり?」
友達のような会話をしてくれるのが後藤先生の人気の秘訣かもしれない。
「さんきゅ。頼めるやつ野崎ぐらいなんだよ」
ではなぜ、学級委員や社会係居るのか。
私は無関係な整美委員なのだが。
「じゃ失礼しました。」
「おう。ご苦労様」
くるりと後ろを向いた時、職員室に見たことのない人が入ってきた。ネームプレートは黄色。二年のようだが、こんな人は見たことはない。
「佐々木!こっちこっち。」
後藤先生が名前を呼んだ。それに反応しこちらに向かって歩いてくる、見知らぬ生徒。佐々木という名前なのは理解した。
「野崎、イケメンだろー。佐々木」
確かに遠めから見てもイケメンなのが分かる。
近くに来るとそれがますます分かる。
肌は白すぎはしないが、そこら辺の女子テニス部よりは確実に白いであろう。
髪は黒く瞳も黒い。これが世で言う王子様系なのか。
「先生も若いときは………」
佐々木くんがこちらに着く前に後藤先生の昔話が始まった。