倫敦市の人々
無口なジャックといえど、これはどうにも気まずいし居心地が悪い。

然程話上手ではないのだが。

「君が助けてくれたのか」

ジャックの方から話しかける。

「……」

フードが揺れるのが見えた。

頷いたらしい。

「そうか…礼を言うべきだな」

「……」

また揺れるフード。

首を横に振ったのか。

礼には及ばないと解釈していいのか。

そこで会話は途切れた。

尤も、ジャックが一方的に喋っただけだが。

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