倫敦市の人々
すっかり暗くなってしまった。

ユヤと椎奈は一旦花屋に戻る事にする。

また明日の朝から、改めてジャックとロンを捜索しよう。

そんな事を話し合いながら花屋の前まで帰ってきた時だった。

「あっ!」

ユヤが声を上げる。

施錠された花屋の前。

暗がりに佇む一人の男の姿があった。

あの背中は見間違える筈もない。

「ジャックさん!」

椎奈が明るい表情で声を上げる。

「心配したんですよ、もうっ!」

そのまま駆け寄ろうとする椎奈。

しかし。

「待て」

そんな彼女のワンピースの裾を、ユヤが引っ張る。

「何かおかしいぞ」

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