倫敦市の人々
「やっちゃったわね…」

額に手を当てるラミア。

「手出ししなきゃ、ジャックは私を追っかけ回すだけで済んだのに…これで坊や達も『狩り』の対象になっちゃったわよ?」

「か、狩り?」

尚もうろたえ続ける椎奈。

「今のジャックはね、記憶を失う前のジャックなの」

ラミアが、変わり果てた野獣の姿となったジャックから視線を離す事なく言う。

「じゃあ記憶が戻ったんですかっ?記憶喪失が治ったんですかっ?」

「治ったっていうか、何ていうか…」

椎奈の問いに、ラミアは鼻を鳴らす。

「記憶が戻らない方がよかったかもね」

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