倫敦市の人々
だが椎奈の場合はそういった意味ではなく、本当に『会話』ができる。

植物の意思を理解し、植物の声に耳を傾ける事が出来る稀有な人間。

…いや、正確には彼女は人間ではないのだが。

如雨露で花達に水をやり終えた後、周囲をキョロキョロと見回し、人目がないのを確認して。

「頂きます♪」

椎奈は自らの若葉色の腰まである下ろし髪を濡らすのも厭わず、頭に如雨露の水を浴びせる。

「ん~♪美味しいです♪」

水浴び、という訳ではなさそうだ。

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