倫敦市の人々
火葬機関が錬金術によって生み出した、高周波ブレード、形状記憶合金の剣以上の最高傑作。

それがジャックだった。

尤も当時はジャックに呼び名などなく、ただ『化け物』と呼称されていたが。

吸血も狼化もしない、太陽の光にも銀の弾丸にも強い。

人狼の恐ろしく高い生命力と、吸血鬼の高い不死性を併せ持つ。

ある意味『いいとこ取り』の存在だった。

だが、そもそも根本的に種の違うもの同士を錬金術で強引に交配させた存在。

当然その歪みは生じる。

理性と自我は崩壊し、まるで気狂いでも起こしたかのような精神状態。

高い戦闘能力と引き替えに、その化け物は火葬機関の命令を全く聞き入れなかった。

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