倫敦市の人々
首魁をも屠る化け物に、吸血鬼達は恐れ戦いた。

倫敦大火から300年ほどの間は闇に潜み、化け物の『狩り』から逃れるように息を殺していた。

化け物もまた、吸血鬼達を探して夜な夜な倫敦市を徘徊する日々。

そして100年前。

遂に化け物は、闇に紛れて尚も吸血行為を繰り返していた女吸血鬼達の派閥を嗅ぎ当てる。

娼婦を装って男達をかどわかし、血を啜っていた彼女達を、化け物は手にした高周波ブレードで執拗なまでに切り刻む。

まるで300年間、吸血鬼を狩れなかった鬱憤を晴らすかのように、鋭利な刃物で喉を掻き切り、特定の臓器を摘出するといった猟奇的な殺害方法を実行する。

「もうわかるでしょ…」

ラミアはユヤ、椎奈、ロンの顔を見比べる。

「猟奇殺人事件の真犯人は、そこにいるジャックよ」

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