倫敦市の人々
恍惚とした表情で、貫通した手刀をグリグリと抉るように動かすラミア。

そんな彼女に。

「ウガルァアァアッ!」

横薙ぎの刃を放つジャック!

こんな至近距離での斬撃を瞬時にして回避したラミアもだが、腹を貫かれてまだ動けるジャックの生命力にも度肝を抜かれる。

「あぁ…やっぱりね…」

スタッ、と軽い足音を立てて着地するラミア。

「貴方は『二度死んで生き返った』んじゃない…倫敦大火の時も猟奇殺人事件の時も、『死ななかった』だけなのね」

大火に包まれながら吸血鬼の首魁を討った時。

猟奇殺人事件で女吸血鬼達を全滅させた時。

いずれもジャックは致命傷を受けたが命を落とす事はなかった。

それは不死なのではなく、恐ろしく高い生命力を持つという事なのだ。

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