倫敦市の人々
その跳ね上がった橋桁を見て。

「うわ…」

美弦を含めた人々が、口々に驚嘆の声を上げる。

橋桁の表面に、大きな亀裂が走っていたのだ。

「何だあれ、罅割れ?」

美弦の友人が呟く。

が、美弦にはそうは見えなかった。

罅割れというよりは、まるで鋭利な刃物で切りつけたような…。

(何だろう…剣による斬撃?でも橋桁に傷をつけるような斬撃なんて…)

『自分のような』存在が、この倫敦市にもいるのだろうか。

物言わず、美弦は友人の隣でそんな事を考えた。

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