倫敦市の人々
大声で名を呼ばれ、美弦はハッとする。

「え、な、何?」

「橋、下りてるぜ?」

見れば跳開していたタワーブリッジが再び通行可能になっていた。

「あ、うん」

コクコクと頷き、美弦は歩き出す。

「まだ寝惚けてんじゃないのかあ?」

苦笑しながら背中を叩く友人。

美弦もまた、苦笑い。

「ところで」

大股で橋を歩きながら、友人が言う。

「今日の放課後は、光照(ピカデリー)サーカス行こうと思うんだけどどうだ?」

< 166 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop