倫敦市の人々

呪いに怯える美弦。

死ぬ直前までは両腕があるままでいたいと願う為、彼は常に神経質だ。

そうやって周囲に気を配り続けているうちに、身の周りで起こる一分後の未来が分かるようになった。

が、分かるのは大抵は突拍子もない事ばかりで回避のしようがなく、出来るのは心構えをもつ事だけである。

光照サーカスの件のように、予め回避できる災難は極稀なのだ。

毎回こうして災いを全て避けて通る事が出来れば、どんなに有り難い事か。

友人に悟られないよう、美弦は密かに溜息をついた。