倫敦市の人々
「水使いの曲芸師の女の子がさ、すっげぇ可愛いんだと」

鼻の下を伸ばして友人が言う。

つまりは、そういう事。

美弦に倫敦市内を案内してやるという名目で、その曲芸師が見たいのだ、この友人は。

同じサーカス、そこでも猛獣を使った演目があるかもしれない。

一抹の不安はあるものの。

「じゃあ…それにしようか」

何もかも嫌だ嫌だでは、友人の親切心に申し訳ない。

もしまた『視えた』ら、その時に注意すればいい。

美弦はイグレシアの公演を見に行く事にした。

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