倫敦市の人々
放課後。

「うわあ…」

普段は空き地となっている広大なスペースに建てられたテントに、美弦は声を上げる。

イグレシア。

名の知れていないサーカス団だなんて、どうしてどうして。

その規模は光照サーカスに負けないくらいのものだ。

平日の夕方だというのに、会場は多くの観覧客で賑わっている。

開演までの時間を待ち切れない子供達を楽しませるように、道化師の格好をした団員がジャグリングを披露している。

そしてその向こうを。

「あ、見ろ!美弦!」

友人にグイと腕を引っ張られる。

煌びやかでいて、少々露出の多い踊り娘のような衣装を纏った女性が、テントの脇を通過していくのが見えた。

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