倫敦市の人々
夕方から始まった公演は、三時間もあったのだそうだ。

そんな長い間観ていたとは思えないほどの、あっという間の三時間。

「『イグレシアが通った町は幸せになる』って噂は本当かもな。看板に偽りなしって奴だ」

テントを出た友人はイグレシアを絶賛する。

「何たってあの水使いの曲芸師の女の子の際どい衣装、引き締まったお腹、可愛いオヘソ…♪」

「何見てたんだよお前…」

呆れる美弦。

ともあれ、夢のような時間はこれにておしまい。

ウエストエンドに住む友人とはその場で別れ、美弦はホワイトチャペルの自宅へと家路に着く。

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