倫敦市の人々
高校生にもなって、夜の一人歩きが怖いなんて。

しかも自分は男じゃないか。

気を取り直して一歩踏み出そうとした美弦の瞼の裏に。

「!!」

来た。

ビジョンが視えた。

首のない犬、片目の潰れた鴉、両耳を削ぎ落とされた黒猫。

そんな屍みたいな獣達が、美弦を追いかけてくるビジョン。

「っっっっ…」

一分後、一分後にはそれが起きる。

何なんだそれ、そんな化け物がこの街にはいるのかっ?

考える時間も惜しんで、美弦は駆け出した。

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