倫敦市の人々
アイヴィーが獣の臭いを嗅ぎ取ったように、ラミアもまた常人ならざる嗅覚を持つ。

彼女もまた吸血鬼。

こうして昼日中から橋の欄干に凭れ掛かっていられるのは、今日が比較的曇り空だからか。

日光浴が大敵なのは、やはり彼女も同様のようだ。

それでも。

「こう臭っちゃあ、気になって仕方がないかも…」

スンスンと鼻を鳴らし、ラミアは臭いの元を辿ろうとする。

彼女の嗅覚だと、臭いは倫敦橋辺りから…。

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