倫敦市の人々
「それより、君はこの街の人?『斬影式鬼』に襲われてるなんて」

フミが目を丸くする。

「斬影式鬼?」

首を傾げる美弦。

「うん。まぁ式神の一種だよ」

フミが説明するには、式神とは陰陽道などの術の一種。

平時には式札(しきふだ)と呼ばれる和紙札の状態にあるものが、陰陽師の術法によって使用される時、使役意図に適った能力を具える鳥獣や異形の者へと自在に変身するのだという。

斬影式鬼はこの応用で、書いた影絵を使役する。

「邪法に近いんじゃないかな。あんまり使ってる人見た事ないし」

フミは、あっけらかんと言った。

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