倫敦市の人々
「きゃはっ!きゃはははははっ!」

舐めた。

それはもう、顔と言わず首と言わず腋の下と言わず。

ベロンベロンと容赦なく。

「あわわわわっ!ロン君駄目ですよう!そんな事したらっ!」

頭にスターチスを咲かせた椎奈が、慌ててフミに圧し掛かったロンの尻尾を引っ張る。

花言葉は『驚き』。

そりゃあさぞや驚いただろう。

椎奈の制止も聞かずに舐め続けるロンに。

「待てっ!」

フミが叫ぶ。

途端にピン!と耳を立てて動きを止めるロン。

「お座り!」

更にフミの指示に従うロン。

「お手!おかわり!伏せ!」

次々と出される指示に、ロンは言われるがまま。

まるで猛獣使いのようだ。

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