倫敦市の人々
「凄いです、ロン君が言いなりになってます」

思わず手を叩く椎奈。

「サーカスの猛獣使いにちょっとだけ教わった事あるからね」

ヘヘンと鼻を高くするフミ。

「ところで貴女達誰?」

フミの問いかけに、美弦もコクコクと頷く。

「あ、申し遅れました」

椎奈が顔を上げる。

「私、この倫敦市の郊外で花屋を営んでいる伊藤 椎奈っていいます。こっちはロン君。木の葉に困っている人達がいるって聞いて、駆けつけました」

「木の葉に?」

訝しげな顔をする美弦。

「あっ、いえっ、そのっ、まぁっ」

椎奈はワチャワチャと狼狽する。

「ふぅん、まぁいいや、ところで」

フミが指差す。

「あそこにいるのも椎奈ちゃんの知り合い?」

そこには、壁際に隠れてコソコソしている瑠架の姿があった…。

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