倫敦市の人々
「そぉんなとこに住んでるのかしらぁ?」

クスッと微かに笑む。

形の良い唇が歪む様は、あまりにも魅惑的だった。

「獣の臭いに棲み処まで橋の下じゃあ…いよいよケダモノじゃない?」

握り潰した空き缶を更に二つ折り、それをまた二つ折り。

そんな事を繰り返し、遂には小さな金属の粒にして。

彼女は帝難川に投げ捨てる。

カツカツと靴音を立てて、歩き出すラミア。

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