倫敦市の人々
椎奈の準備してくれたクッキーとハーブティーが振る舞われる中、その辺の事を少しずつ美弦とフミに説明してくれた。

この倫敦市の歴史から始まり、その歴史にかかわる吸血鬼と聖堂騎士団の関係、抗争の中で生まれた火葬機関の存在、そして今ここにはいないジャックという男の事。

「きっと美弦を襲ったのは、兄ちゃんを連れ去ったのと同一人物だと思うぜ?」

クッキーをバリボリ食べながらユヤが言う。

「何で襲われたか、美弦心当たりないか?」

「……」

押し黙る美弦。

心当たりならある。

いつもなら、真実を人前で語るのは極力避けてきた。

しかし、彼らなら。

彼らの前でなら。

「それはきっと…」

大きく深呼吸して、美弦は告げる。

「俺が茨木童子の先祖返りだから…」

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