倫敦市の人々
やはり思った通りだった。

この面々は美弦をありのままで受け入れてくれる。

奇妙な呪いを持っているとか、鬼の力を持っているとか、そんな事で美弦を色眼鏡では見ない。

「私の姉は…」

コートニーがボソボソと呟く。

「学生時代に倫敦市から遠く離れた天神地区という土地に住んでいたの…倫敦市よりももっと種族の坩堝で…でも誰も差別なんかしていなかったって…」

残念ながら、この倫敦市はそうではない。

過去数百年、聖堂騎士団と吸血鬼の抗争が絶えなかった都市。

だが今からでも。

過去はそうでも今からでも。

自分達からでも。

それを築けていけたらいい。

暗黒郷(ディストピア)から理想郷(ユートピア)を創っていけたらいい。

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