倫敦市の人々
「兄ちゃんがさ」

ユヤはかつてジャックに言われた事を思い出す。

「絶対に銃で人を撃つなって…もし人殺しなんかしたら『堕ちる』って言ってた」

「……正しいわ」

視線を愛銃…バレットM82から離す事なく、コートニーは言う。

「姿形はそのままでも…どんな理由であろうとも…同族を殺した瞬間に、その者は別のものに『堕ちる』…化け物、悪魔、魔物、殺人鬼…言い方は色々だけど…人殺しは人でなきものに成り果ててしまう…」

バレットM82に弾丸を込めつつ。

「ジャックは貴方に人間でいて欲しかったの…だからそんな事を言ったの…」

コートニーは無表情で言った。

まさかそれをユヤに教えたジャック自身が、あんな化け物に成り果ててしまうとは…。

「兄ちゃんはさ」

ユヤがポツリと呟く。

「他にも色んな事教えてくれたんだ…子供が強盗みたいな金の稼ぎ方するなとか、男なら誇りを持てとか…戻って欲しいよな、元の兄ちゃんに…戻るよな?」

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