倫敦市の人々
影と血
椎奈の花屋への襲撃に失敗した、その日の夜。

「あーあ」

闇珠はタワーブリッジの塔の天辺に腰掛け、足をブラブラさせる。

普通はこんな場所に人がいるなど有り得ない事だが、今は夜。

加えて意外と通行人が上を見上げない事もあり、誰も闇珠の存在には気づかない。

「惜しかったなぁ」

闇珠の独り言は続く。

「上手く聖堂騎士団を出し抜いて、あと少しで美弦を連れ去る事が出来たのになぁ…」

< 221 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop