倫敦市の人々
「それともう一点」

アイヴィーは闇珠の傍ら、唸り声を上げて敵愾心剥き出しのジャックに視線を移す。

「何ともまぁ…僕と邂逅した時とは随分変わり果てたものだ。すっかりケダモノ然としてしまって…だが吸血鬼と人狼の混血ならば、確かに『希少種』には違いない…しかし」

ポン、と。

杖で己の掌を叩くアイヴィー。

「その『希少種』以外…人間と吸血鬼など、勝手に殺し合ってしまえとは聞き捨てならないね…吸血鬼全体というよりは、吸血鬼である『僕自身』に対する侮辱だ」

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