倫敦市の人々
次々とインプを放ってラミアを牽制する闇珠、ジャックの斬撃を流れるような剣捌きでいなすアイヴィー。

吸血鬼と影、一進一退の攻防。

「埒があかないな」

レイピアを片手持ちのまま、切っ先のみでジャックをあしらいながらアイヴィーが溜息をつく。

「こうして捌く分には構わないが、もう一歩踏み込んで決定打を与えるとなると『彼の間合い』だ…あの高周波ブレードを前に、彼の懐に飛び込むのは、僕も勇気がいるね…何より『最愛』一人残して逝くのは辛い」

そう言って、チラリとラミアを見るアイヴィー。

ラミアと二人掛かりならば、或いはジャックにも付け入る隙が生まれるかもしれないが、ラミアはラミアで闇珠に翻弄されている。

「なかなかどうして…僕達吸血鬼を手玉に取るとは、大したお嬢さんだ」

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