倫敦市の人々
何だか分かったような、分からないような。

腑に落ちないような表情で、それでもユヤはコクコクと頷く。

「…よし…だったら」

ジャックはジーンズのポケットから小銭を出す。

「これで何か買って食え」

「きったねぇ!金持ってんじゃねぇか!」

「他人に施しを受ける事に慣れるんじゃない。今回は特別だが…男なら誇りを持て。例え貧民層でも、ギャングだとしてもだ」

「……」

物騒で、他人の説教になど耳を貸さないユヤだが、ジャックの言葉にはどことなく含蓄を感じるのか。

一つ大きく頷いて、ジャックから小銭を受け取った。

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