倫敦市の人々
奇妙な病もあるものだ。

面々がそんな事を考えていると。

「それ!」

ガタンッッッ!と。

椅子を引っ繰り返してフミが立ち上がった。

床に寝そべっていたロンが驚いて飛び起きる。

「何だよ曲芸師、ビビるじゃねぇか」

ユヤが言うのも無視して。

「その記事、もっと詳しく聞かせて!」

「あ、ああ…」

目を丸くしたまま、美弦は記事を読んで聞かせる。

「医学界でも過去に類を見ない奇病であり、症例は今の所、倫敦市以外では報告されていない。兆候らしいものもなく、ある日突然眠り始めて目覚めなくなる。命に関わるようなケースは現在ないようだが、実質植物人間に等しい状態になってしまう…」

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