倫敦市の人々
錬金術によって製造されたその新薬は、普通の睡眠薬と違って薬物反応が一切出なかったという。

例え医師の診察でも、薬品を使用したと見破られる事はないという。

「錬金術は、医術では対応できない…病気と誤診してしまうのも仕方がないの…」

それがコートニーの見立てた、団長のヒュプノス病の真相だった。

「で!で!」

コートニーにしがみ付いて体を揺さぶるフミ。

「目覚めるのっ?団長は目覚めるのっ?」

「……」

必死に縋り付くフミ。

何とかしてやりたい。

だから。

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