倫敦市の人々
意を決し、フミは小瓶を団長の口元に添える。

ゆっくりと、小瓶を傾けた。

静かに口の中に注ぎ込まれていく赤い液体。

「団長…」

険しい表情で、フミは団長が液体を嚥下するのを見つめる。

完全に液体を全て飲み込んだ団長。

…変化はない。

彼女は先程までと同様、規則的な寝息を立てて眠り続けている。

効果はなかったのか?

エリクサーでは、団長を目覚めさせる事は出来なかったのか?

固唾を呑んで見守る面々。

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