倫敦市の人々
「知っている訳ではないんですけど…」

モジモジしながら、椎奈は告げる。

「貴方が記憶喪失だって、木の葉…あ、いえ、人づてに聞きまして」

何やら不思議な物言いをする少女だ。

ジャックは椎奈の顔をまじまじと見る。

と。

「よーっす、椎奈!」

ユヤが元気良く声をかける。

「知っているのか?」

「さっき話したろ?イーストエンドのギャングとは仲が悪くてさ、奴ら、椎奈のやってる花屋に押しかけてきて場所(ショバ)代を払えなんて脅してたから、俺が助けてやったんだ」

ジャックの問いかけに、人助けもするんだぜとばかりに鼻高々で答えるユヤ。

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