倫敦市の人々

「フミの怒りも尤もです…」

団長は頷く。

「自然に多くの種族が集い、共に生きていくのならばともかく、倫敦市は『故意に集められ』『実験的に共存させられている』に過ぎない…住んでいる者達の意思とは無関係に…当然フミのように反発する者もいるでしょう…だから、この倫敦市の真実を知る者は、多くの人々の中でもごく一部…殆どの者はその事実を知らなかった…ですが…」

面々を見渡す団長。

「最近になって、その真実に気付く者が出始めました…『実験』を続けたい者にとって、それは都合の悪い状況…」

「だから…眠らされたの？…貴女のように…」

コートニーの言葉に団長は再び頷いた。

「教会（イグレシア）の責任ある地位にいた私や、この都市に古くから住む人々、市政に関わる者など…この都市の真実の姿を知る人間は、軒並み私のように眠らされている筈です…口封じの為に…」