倫敦市の人々
この分だと、美弦と椎奈を『希少種』として連れ去るのも容易。

「そう思わない?彩」

闇珠は彩に語りかけるが。

「……」

彼女はプイと顔を背け、塔から見える夜景の方に視線を移した。

「気分屋さんだねぇ…」

苦笑いする闇珠。

金属を自在に操作できる能力を持つ彩。

その稀有な能力を持つ希少種として彩を引き込んだ闇珠だったが、彼女ははじめからこんな調子だった。

闇珠の考えに否定的ではないが、協力的でもない。

言葉数もあまり多くはなく、感情が分かりづらい。

果たして闇珠に本当に賛同しているのか。

特に抵抗する理由がないから一緒にいるだけで、何か不都合が生じれば、すぐにでも闇珠に牙を剥くかもしれない。

そんな危うさを秘めていた。

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