倫敦市の人々
帝難川沿いに、イグレシアサーカスのテントへと帰る。

冬の朝、川沿いは寒いものの、ピンと張り詰めたような冷たい空気が、背筋をシャンとさせる。

白い息を吐きながら歩くフミ。

彼女はこの澄んだ冬の空気が嫌いではない。

が、流石に踊り娘の衣装のままでは、この寒さは堪える。

せめて上着でも羽織ってくるべきだったか。

朝市の客のおばさんにも、「お嬢ちゃん風邪引くよ」なんてからかわれたし。

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