倫敦市の人々
倫敦塔の屋上。

テレスコピックサイトを覗きながら、コートニーは引き金を引く。

ここからウエストエンドまでは何百メートルあるのか。

そんな遠くで戦っている瑠架の背後に迫るホムンクルスを、彼女は一発で仕留めた。

バレットM82を構えて、今度は東へ。

闇珠に迫っているホムンクルスを、またも一発で仕留める。

サイト越しに、『余計な事するな』とばかりに睨む闇珠の顔が見えたが、そんな事はお構いなし。

仲間である以上は、分け隔てなく助ける。

それが聖堂騎士団だろうと、影だろうと。

陰ながら仲間をサポートするのが狙撃手の役目。

勘当同然となったテフレチェンコ家で、姉に教わったスナイパーの心得だ。

「私に力を貸してほしいの…姉さん…」

小さく呟いて、コートニーはまた引き金に人差し指をかけた。

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