倫敦市の人々
数多の切り傷裂傷を身に刻みながら、尚も斬り合いをやめようとしない二人。

ラミアの狂気に当てられたのか、ジャックの表情にも壮絶な笑みが浮かぶ。

まるで斬り合いを愉しんでいるようにも見受けられた。

記憶を失っても、本質は変わらない。

彼の本質は獣。

血を、肉を、殺し合いを、命のやり取りを愉悦に感じる化け物なのだ。

「はぁあぁあっ!」

ラミアの手刀が、ジャックの左眼を掠める!

瞼を斬られ、流血で視界が奪われる。

だが片目があれば十分。

左眼と引き替えに。

「くらえ…!」

先程貫いたのと寸分違わぬ位置へ、ジャックは再びラミアの腹を貫く!

< 358 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop