倫敦市の人々
跪いたジャックを見下ろしながら、アイヴィーはレイピアの血を拭う。

「同族(ラミア)と約束した手前、紳士が淑女(レディ)との約束を破るのはスマートではないと思って手を貸したが…実の所、僕は君の存在などどうでもいいし、このまま君が死んでも生き延びても、一向に構わないんだ」

「ホムンクルスどもが倫敦市を蹂躙しているんだぞ…その事に関しても」

「何度言わせる?」

ジャックの発言を遮り、アイヴィーは言葉を紡いだ。

「『最愛』以外に興味はない」

冷ややかに視線を向けるアイヴィーは、本心を語っていた。

この倫敦市がこのまま滅ぶ事になろうとも、彼には何の感情も湧かない。

それにより何人死のうが、如何なる被害が出ようが、全く関心がなかった。

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