倫敦市の人々
まさしく野生の獣。

ジャックの突進力は凄まじく、受け太刀したアイヴィーの足の踏ん張りが利かない。

そのまま石畳を滑って押されていく。

「力比べは分が悪いな…まるで止められる気がしない」

言いながらも焦りの色は見せないアイヴィー。

このまま押されると、倫敦橋だ。

現在もホムンクルスの襲撃から避難する市民達の車の列で渋滞している。

「少し戯れを思いついた」

アイヴィーはレイピアで、ジャックの斬撃のベクトルを僅かに変えてやる。

突進力があればあるほど、そのベクトルを変えられる事で大きな軌道の変化となる。

その膂力を受け流される形で、倫敦橋の方へ吹き飛ばされるジャック。

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