倫敦市の人々
煉獄の炎を纏い、帝難川へと崩落する倫敦橋。

アイヴィーは対岸へと着地し、その光景を眺める。

「倫敦橋落ちた…人間達の間には、そんなナーサリーライム(童謡)があったな」

『オクスフォード童話事典』 では、何度橋を架けても壊されてしまう自然の力に対抗できるものとして見張り番、つまり人柱が必要になると述べている。

ならば倫敦橋と共に水中に没したジャックは、まさしくその人柱となるのではないか。

「己の素性も知らず、生きていても化け物と罵られる…唯一倫敦市民に感謝される死に様ではないかね?尤も…」

今尚、各所から炎と黒煙を上げる倫敦市内を見やるアイヴィー。

「今更、君が人柱となった所で手遅れかもしれんがね」

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