倫敦市の人々
「迷惑だなんて!」

椎奈は声を大にする。

「きっと大切な思い出や、大切な家族の人達の事や、忘れたらいけない事がいっぱいあった筈なのに、記憶喪失でそれを全部失くしちゃってるなんて!」

椎奈は元植物の為に、人間や動物のような『家族』という概念がない。

仲間はいるし友人もいる。

花屋の花や、森林地帯の木々達も、みんな椎奈の仲間だ。

だが家族は…椎奈には少し理解しにくい。

それだけに失うと大変なものなのだろう、悲しい事なのだろうと想像する。

「きっとジャックさんの家族や友達も、ジャックさんの事探してます!早く記憶を取り戻して、探してあげないと!」

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