倫敦市の人々
ジャックの声に、そのシェパードの耳がピン!と立ち上がる。

そしてジャックの姿を確認すると、一目散に突撃!

足元に齧り付くようにして、喜びを表現した。

「ジ、ジャックさんの知り合いの子ですか…?」

ポケットから出したハンカチで、ユヤと自分の顔を拭き取りながら椎奈が言う。

「ああ…ロンと呼んでいる…倫敦橋の下で野宿していた時に、いつの間にか懐かれてな…しばらくは行動を共にしていたんだが…」

ロンの頭を撫でてやるジャック。

「ここに来る事をお前には知らせてなかったな。悪い事をした」

ロンは目を細め、気持ちよさそうにジャックのスキンシップを受けている。

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