倫敦市の人々
再び椎奈の花屋。

石畳の上に直接置いた茄子のミートグラタンの皿に顔を突っ込んで、ロンは一心不乱にがっつく。

舌を火傷してはいけないので、少し冷まし気味にしたものだ。

「凄い勢いで食べてますね…本当に茄子好きなんですね」

しゃがんで両手で頬杖をついて、微笑ましくロンの様子を見る椎奈。

頭には紫露草。

花言葉は『ひとときの幸せ』。

「まぁ俺は茄子以外のものも好きだけどなっ」

当然ロンの分を作っていると腹が鳴ってきたのだろう、ユヤも隣でハフハフ言いながらグラタンを食べている。

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