倫敦市の人々

石畳の河岸。

片膝を抱えて座り込むジャック。

そんな彼に声をかける者がいた。

「兄ちゃん、なーにしてんのっ？」

無言のまま顔を上げるジャック。

目の前に立っているのは少年だった。

見た所、小学校に上がったばかりくらいだろうか。

青のニット帽を目深に被り、派手なポンチョ着用。

足元はサンダル。

ニット帽のせいで目元はよく見えないが、口元を見る限り笑っているようだ。

ニシシ、と白い歯が覗いている。