倫敦市の人々
指を咥えて見ている事しか出来ない彼らの前で、トマトジュースを飲み干した後。

「帰るわ」

ラミアは空き缶を投げ捨て、あっさりと踵を返す。

「すっかり骨抜きになっちゃった貴方に魅力はないわ。折角激しく踊ろうと思ってたのに…」

「待て!」

ジャックは呼び止めるものの、彼女は振り向きさえしない。

完全に興味を失ったのか。

無防備に背中を向けたまま。

「待て…!」

ジャックはもう一度叫ぶ。

「一体俺とお前に、どんな過去があったっ?」

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