倫敦市の人々
「『最愛』以外は家畜としか見なさない彼だけど…ジャック…貴方には何らかの興味を示すかもしれない…少なくとも貴方は『家畜』ではない筈だから」

最後の言葉を残し、ラミアは歩いていく。

灯りの届かぬ闇の中に吸い込まれるように、溶け込むように。

それは正に、人間の知らぬ別の世界への入り口のようにさえ思えた。

「っふぅ~…!」

呪縛から解けたかのように、ユヤがその場にへたり込む。

ロンもまた、クタリと伏せの姿勢をとった。

「ユヤ君、ロン君、大丈夫ですかっ?」

ユヤ達を気遣う椎奈。

そしてジャックは。

「……」

いまだ訳もなく流れ落ちる汗に、冷たいものを感じていた。

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