倫敦市の人々
翌朝。

「ユヤ君!ユヤ君っっっ!」

花屋の一角を間借り…といっても代金を払っている訳ではないが…して眠りこけていたユヤの体を、椎奈が激しく揺さぶる。

即座に覚醒するユヤ。

「何だっ?昨夜のラミアとかいう女がまた来たかっ?」

飛び起き、シカゴタイプライターを構え、今にも乱射しそうな勢い。

しかし。

「違う!違うんですっっ!」

椎奈はワチャワチャと慌てる。

その頭に咲いているのはクリスマスローズ。

花言葉は『不安を取り除いて下さい』。

その花言葉通り。

「ジャックさんとロン君がいなくなっているんですっ!」

椎奈は突然の失踪をユヤに告げた。

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