倫敦市の人々
そんな事よりも。

「……」

アイヴィーはモノクル越しに、ジャックの抜刀した刃を見つめていた。

これはまた珍奇な刃を持つ…。

それが彼の感想だった。

一見するとただの刃。

よく磨き込まれ、手入れも行き届いているようだが、別段珍しくもない刀剣のように思える。

だが、家畜たる人間達とは比較にならない五感を有するアイヴィーにはわかるのだ。

微細な空気の震動、常人には聞き取れない微かな音。

「振動剣…という奴か」

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