倫敦市の人々
一撃目より二撃目、二撃目よりも三撃目。

より深く刺さり、より鋭く抉ったレイピアの切っ先。

その威力は刺さるだけに留まらず、ジャックの体を吹き飛ばして煉瓦造りの壁を貫通する!

61メートルの高さに位置する大時鐘時計台の時計部屋から、血塗れのまま転落するジャック。

「……」

間もなく夜明けを迎える外に顔を覗かせ、アイヴィーは落ちていくジャックを見下ろす。

「帝難川に落ちたか…」

ならば転落死は免れよう。

だがこの時期の帝難川の水温は一桁だ。

出血した体温低下の状態で、どれだけ持ち堪えられるか。

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